特集 生活習慣病および代謝性疾患と外科
特集に寄せて
桑野 博行
1
Hiroyuki KUWANO
1
1群馬大学大学院医学系研究科病態総合外科学
pp.1441
発行日 2006年11月20日
Published Date 2006/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101049
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世界保健機関(WHO)が先頃発表した2005年版の「世界保健報告」によると,日本人の平均寿命は82歳となり,前年度に続いて世界一となった.しかし,一方では長寿国日本にかげりが見え始めている.最近,「生活習慣病」という言葉を聞かない日がない.特に肥満,耐糖能異常(高血糖),高中性脂肪血症,低HDLコレステロール血症,高血圧のうち3つが揃うことで診断される「メタボリック症候群」は国民の4人に1人が相当すると言われ,まさに国民病と呼んでも差し支えない事態を迎えている.
「体の負担になる生活習慣」を続けることによって引き起こされる病気,すなわち生活習慣病がこのように増加の一途をたどっている原因は,生活習慣,特に食習慣の欧風化に負うところが大きい.かつて長寿の県として有名であった沖縄は食や生活の欧米化が急速に進行した結果,男性の平均寿命は77.64歳と全国平均(77.71歳)を下回り,5年前の調査の4位から一気に26位まで落ちた(二六ショック).特に中年の男性の死亡率が高いことが注目され,45~59歳の死亡率は脳血管疾患や脳出血,肝疾患,糖尿病などで全国ワースト10に入っている.今,急速に日本人の疾病体系が変化している.
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