特集 糖鎖のかかわる病気:発症機構,診断,治療に向けて
特集に寄せて
谷口 直之
1,2
1大阪大学産業科学研究所
2理化学研究所基幹研究所
pp.96
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100968
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糖鎖は,第3の生命鎖として,ライフサイエンスの領域でも注目を集めるようになっている。その理由のひとつには,タンパク質の半分以上には糖鎖が付加されているという事実がある。一方,タンパク質に比べて糖鎖は多様性があり,また構造が複雑なため,その解析が難解であることからこれまでは多くの研究者から糖鎖研究が敬遠されてきた。
しかし,質量分析などの糖鎖の解析法の著しい進歩や糖鎖を合成する糖鎖遺伝子などの遺伝子改変動物を用いた糖鎖の機能解析の成果により,糖鎖の研究が飛躍的に発展し,糖鎖が生体の中で,細胞の認識,発生,再生,分化,免疫,細胞膜受容体を介した情報伝達などの基本的な現象に重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。また,同時にいろいろな病気の発症機構の解明や診断,治療に糖鎖研究が欠かせないことから多くの研究者がこの領域に参入するようになってきている。
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