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編集後記
M. M.
pp.1168
発行日 2017年12月15日
Published Date 2017/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205511
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今年も年賀状の準備の季節となり,90歳を超える祖父母,父母の逝去のための喪中の知らせが届いている中で,40歳代で心臓突然死された統合失調症の親族を悼む,喪中のはがきを同封したお手紙を拝読すると,統合失調症の酷さを痛感いたします。学会のホームページに向精神薬の重篤な副作用のモニタリングと対応マニュアルを作成して掲載しましたが,取り組みがまだまだ不十分であることを実感せざるを得ません。
本号の特集「統合失調症」再考(Ⅱ)ではその統合失調症の生物学的病態がようやく明らかになり,死後脳解析では神経細胞の脱落とグリアの増殖という変性の病理ではなく,錐体神経細胞の細胞体容積の低下,樹状突起の分枝や棘の減少などの神経可塑的変化が捉えられております。脳画像解析でも,認知症での形態変化の数分の一程度ですが,前頭,側頭葉の形態的,機能的変化が確実に捉えられている現状が詳述されています。神経心理学的評価に基づく認知機能の障害も明らかにされ,日常生活技能の修復に向けた治療への応用についても解説いただいております。これらはいずれも20年前から言われていたことがエビデンスを積み重ねて教科書を書き換える段階になったといえます。
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