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編集後記
M. M.
pp.410
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102442
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精神医療界の中からの精神科医療改革のテンポに比べて,外側からの改革圧力のほうがはるかに大きく,速い。その改革の根源を辿ると,平成14(2002)年12月に可決された医療観察法の附則に一般精神医療の質の向上を図ることが明記されて,平成16(2004)年に精神障害者グランドデザインが策定されたことに行き着く。「入院医療中心から地域医療福祉中心へ」の転換の流れは昨年3月の医療法に基づく医療計画を作成するべき疾患に精神疾患を加えた厚生労働大臣告示に結びつき,各都道府県では精神疾患の医療計画を作成している。さらに,最近,精神病床の医師配置基準も入院3か月までの急性期は一般病床と同じ16:1にする方向性も決定されている。
精神科医はこころとからだを診る総合医であり,現在の精神症状を身体科医にきちんと説明した上で,現在取り得る最高の身体合併症治療を受けさせるのが精神科主治医の役割であるという巻頭言でのご指摘はまさに精神科医と身体科医との連携を模索している現状における明確な澪標となっている。医療計画の指針には,統合失調症入院患者の身体合併症対策が明記され,各都道府県で大きな課題となっているが,厚生労働省の精神疾患患者の身体合併症対策事業を予算化して実施している県はほとんどないのが現状である。そのような事業を厚生労働省が各県に手上げ方式で提案していたことさえ大部分の精神科医は全く知らなかったのではないかと思う。医療政策に係るシンクタンクを用意しないと,精神医療界の外からの政策に対応できずにいることになる。
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