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私のカルテから
メタ認知トレーニングを応用して支援した不登校生徒の1事例
Metacognitive Training Approach for a Truant Student: A Case study
狩野 俊介
1
Shunsuke KANOU
1
1岩手県立杜陵学園
1Iwate Prefectural Toryou Gakuen, Children's Self-reliance Support Facility, Morioka, Japan
キーワード:
Metacognitive training
,
Truant student
,
Cognitive approach
,
Ecological perspective School social work
Keyword:
Metacognitive training
,
Truant student
,
Cognitive approach
,
Ecological perspective School social work
pp.879-881
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205254
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はじめに
メタ認知トレーニング(Metacognitive Training;MCT)は,統合失調症に対する認知行動療法の心理教育・心理的介入技法である5,6)。MCTは,次の8つのModuleから構成されている。すなわち①帰属,②結論への飛躍,③思い込みを変えること,④共感すること,⑤記憶,⑥共感することⅡ,⑦結論への飛躍Ⅱ,⑧自尊心と気分である。これらのModuleは,参加者の興味関心に合わせた順序で実施が可能とされている。そして,開発者のMoritzらは,MCTを基礎としたうつ病や境界性パーソナリティ障害,強迫性障害のプログラムを開発し,Mネット注)では試験段階であるが発達障害や就労支援,学校臨床などで応用している報告がある4)。
多くの領域で応用されている背景には,メタ認知機能の低下や回復が人々の精神的健康に寄与すると考えられるためである。そこで筆者は,学校臨床で不登校生徒のグループを対象とした認知的アプローチとしてMCTを応用し,そのグループに参加した一生徒の経過から,その有用性だけでなく学校臨床における認知的アプローチのあり方を検討したため報告する。
なお,事例の特定を避けるため,匿名性に十分に配慮し,趣旨を妨げない範囲で一部を改変した。また,MCTの詳細については文献2,3)を参照してほしい。
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