特集 コミュニティと精神保健
児童・生徒の精神保健
清水 將之
1
,
北村 陽英
2
Masayuki SHIMIZU
1
,
Akihide KITAMURA
2
1名古屋市立大学医学部精神医学教室
2鳴門教育大学生徒指導講座
pp.598-601
発行日 1988年9月15日
Published Date 1988/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207768
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児童期・青年期と精神保健
今日の子どもは物質的豊かさの中に生き,一見幸せであるかのように見える.しかし彼らは果たして本当の幸福を手にしているのであろうか.都市部においては,幼少時より伸びやかに遊び回る自然を提供されず,ファミリー・コンピュータによる個人のイメージ内に閉塞された世界に生き,対人関係は希簿で,遊びの中で自ずと培われる生きて行く上での基本的な知恵と技法を体得することができない.今少し年齢が上昇すれば,受験という苦行が彼らを待ち構えている.個々の親がどのように思い入れているかは別として,客観的に見れば,現代日本の児童・生徒はどうも幸せな,あるいは安心できる状況の中に生きているとは言い難い.
では,具体的にどのような精神保健的問題が子どもの上にのしかかっているのであろうか.
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