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特集 社会認知研究の最近の動向
マーモセットの社会認知とニューロイメージング
Neuroimaging of Social Cognition in Marmosets
横山 ちひろ
1
Chihiro YOKOYAMA
1
1国立研究開発法人理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター
1Functional Architecture Imaging Unit, RIKEN Center for Life Science Technologies(CLST), Kobe, Japan
キーワード:
Positron emission tomography
,
Serotonin
,
Non-human primates
,
Social neuroscience
,
Network connectivity
Keyword:
Positron emission tomography
,
Serotonin
,
Non-human primates
,
Social neuroscience
,
Network connectivity
pp.15-21
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205092
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はじめに
ニューロイメージングとは一般に脳機能を可視化する方法である。特に陽電子放射断層撮影(Positron Emission Tomography;PET),磁気共鳴機能画像法(functional Magnetic Resonance Imaging;fMRI)に代表される非侵襲的脳機能イメージング法(以下ニューロイメージング)は,ヒトの脳全体の神経活動の生きている状態を測定・画像化できることから精神医学の分野に大きな成果をもたらしてきた。ニューロイメージングで分子や細胞の働きを直接観察することはできないが,脳全体にわたる神経伝達物質の動態や神経活動を俯瞰することができる。これにより脳の異なる部位が精神機能の細部を別々に分担していること(機能局在)だけでなく,離れた領野間の活動同期性(機能的連結)が発達段階や精神疾患,異なる社会環境によって変化することが分かってきた。このような脳活動の「大域的」特徴と精神機能との密接な関連は今多くの注目を集めている7)。
ヒト研究から始まったニューロイメージングは,技術発達によってその対象は動物に広がった。その中で,非ヒト霊長類の一種であるマーモセットの社会認知の神経機構を探ろうとする試みが始まっている。本稿では,まず動物のニューロイメージングおよびそれが社会神経科学と出会うことの意義を解説し,次にマーモセットに関する最近の知見を紹介する。最後にマーモセットのニューロイメージングが精神医学に貢献できる可能性を考察する。
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