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展望
情動回路からみた精神分裂病のドーパミン仮説—ドーパミンによる感覚情報ゲイティング仮説の提唱—第1回
Dopamine Hypothesis of Schizophrenia as Viewed from the Standpoint of Emotional Circuit: Proposal of gating hypothesis of sensory information by dopamine (1)
前田 久雄
1
Hisao Maeda
1
1佐賀医科大学精神医学教室
1Department of Psychiatry, Saga Medical School
pp.128-135
発行日 1987年2月15日
Published Date 1987/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204281
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I.はじめに
精神分裂病のドーパミン(DA)仮説が1972年に提唱されて166,167)以来,この仮説をめぐって,神経生理学,神経化学,神経薬理学などの基礎的分野から精神医学の臨床まで,広範な学問領域においておびただしい研究が行われてきた。それらの成果は,多くの総説44,66〜68,71,127,188,189)にまとめられており,詳細はそれらにゆずるが,本論文では一部関係分の概略を紹介する予定である。しかし,精神現象の物質的基盤を論じるに際し,その精神現象の中に占める位置の重要性から当然触れられるべき情動の中枢機序とDA仮説との関連性については,まだほとんど検討されていない。
一方,情動の中枢機構,これは複雑な神経回路から構成されていると考えられることから情動回路と言いかえても差し支えないと思われるが,この情動回路そのものもまだ確立されていない。
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