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特集 予測と意思決定の神経科学
報酬構造学習―ドーパミン神経細胞をめぐる新仮説
Reward structural learning by dopamine activity
中原 裕之
1
Hiroyuki Nakahara
1
1理化学研究所 脳科学総合研究センター 理論統合脳科学研究チーム
pp.323-328
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101463
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われわれの日常生活は,朝食に何を食べるか,職場で上司に何を報告するかなど,意思決定の連続である。意思決定は未来に影響を与える。逆に言えば未来予測が意思決定の際には働く。このように未来予測の学習は意思決定において本質的な役割を果たすことになる。経験から予測を修正,つまり学習することが適応的な意思決定を可能にするのである。予測の中でも,報酬の予測はヒトや動物にとって原初的な部類に属する。報酬予測は動機づけ行動の土台ともなる1-4)。そのため,報酬予測の学習とその意思決定“価値に基づく意思決定;value-based decision making”(以下,価値意思決定)における脳機能の解明は神経科学の重要なテーマとなっている。近年,この価値意思決定に関する脳研究が報酬予測の脳計算理論“強化学習;reinforcement learning theory”に支えられ発展してきた。そこでは,いわゆるドーパミン報酬予測誤差仮説が大きな役割を演じている5)。本稿では,われわれが先ごろ新たに提唱した“ドーパミン報酬構造学習仮説”を紹介する。
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