Japanese
English
短報
20年間のインターバルを経て再発した痙性斜頸の1例
A Case of Spasmodic Torticollis Recurrent after a Free Interval of 20 Years
宮岡 等
1
,
鍋田 恭孝
1
,
片山 義郎
1
,
浅井 昌弘
1
Hitoshi Miyaoka
1
,
Yasutaka Nabeta
1
,
Yoshiro Katayama
1
,
Masahiro Asai
1
1慶応義塾大学医学部精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, School of Medicine, Keio University
pp.115-117
発行日 1986年1月15日
Published Date 1986/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204096
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I.はじめに
痙性斜頸は,神経症候学上,純粋痙性斜頸と症候性痙性斜頸とに2大別されている2)。その成因に関しては諸説があるが神経学的な立場からは錐体外路系疾患としてtorsion dystoniaの範疇でとらえられる傾向にある。しかし痙性斜頸症状を唯一の神経徴候とする純粋痙性斜頸の中には,その発症に心因が関与する症例も少なくないといわれている。本症の予後に関しては悲観的であるとされることが多かった4)が,最近はそれに対する反論も見られる3)。一度症状消失した後再発する症例についてはいくつかの報告が見られるが,われわれの知る限りRandの報告した30年間のインターバルをおいて再発した症例が,その最長のものであろうと思われる7)。
さてわれわれは20年間の症状消失期間を経た後,初発時と類似の生活状況に直面して再発した痙性斜頸の患者を治療する機会を得たので報告する。なお本症例は薬物療法,催眠療法および精神療法を併用した保存的治療によって約5カ月間をもって治癒に至ったが,この経過中斜頸症状が軽快しはじめた頃から次第に不安状態が昂じたという事実が症状形成過程を解明する一つの手掛かりを提供していたものと考えられた。
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