Japanese
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紹介
「偸通辨話」考—元緑時代における分裂病の記載
An Essay on the TO-TSU-BEN-WA: Early description of schizophrenia in GENROKU era
石井 厚
1
Atsushi Ishii
1
1東北大学医学部神経科精神科
1Department of Neuropsychiatry, Tohoku University School of Medicine
pp.1334-1340
発行日 1984年12月15日
Published Date 1984/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203872
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I.はじめに
偸通辨話6)は,元禄17年(1704年)に沙門明存によって書かれた本文10丁,約5,200字の小冊子である。この本の首題である偸通(偸はうすい,軽々しい,盗むなどの意,明存によると精神が互いに通い合うから偸通と名づけるという)の内容が現代の分裂病性症状とよく似ているので,本書の梗概を紹介し,あわせて二,三の考察をつけ加える。
この本は東北大学狩野文庫(図1a,b)に2冊,九州大学図書館に1冊(図1c)あり,いずれも写本で本文は同一であるが前書きと後書きに異同がある。
恐らく印刷されて刊行されたことはないと思われる。文体は比較的読みやすい漢文書き下し文であるが,一,二方言とも思われる語句がある。
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