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資料
鎌田碩庵「婦人臓躁説」考
An Essay on the Fujin-Zou-Sou-Setsu: An early description of hysteric convulsion
石井 厚
1
Atsushi Ishii
1
1東北大学医学部精神医学教室
1Deartment of Neuropsychiatry, Tohoku University School of Medicine
pp.583-588
発行日 1986年5月15日
Published Date 1986/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204155
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I.はじめに
ヒステリーは,メランコリー,てんかんなどとならんで史上最も古くから知られている疾患の一つである。
西欧の医学では,ヒステリー概念にさまざまな変遷がみられたが,中国や日本のいわゆる漢方医学では,たとえば金匱要略の奔豚,婦人臓躁というヒステリーに相当する概念が,19世紀における西洋医学の受容にいたるまで長くその形を変えることなく継承されてきた。鎌田碩庵の「婦人臓躁説」(文化元年,1818)は,自ら婦人臓躁の症例を観察した碩庵がゴルテルの「子宮衝逆」という名称を思いおこし,その症状を比較して婦人臓躁と子宮衝逆すなわちヒステリーを同一疾患であるとしたもので,わが国の精神医学的疾病史の上で興味ある著作である。
これまでこの論文にふれた論著がないのでその内容を紹介し,あわせて疾病史上の意義などを述べる。
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