Japanese
English
研究と報告
心理テストによるKlinefelter症状群の知能と人格
Psychological Testings in Patients with Kline felter's Syndrome Found among Mental Hospital Survey
佐郷 透
1
,
南光 進一郎
2,3
Toru Sago
1
,
Shinichiro Nanko
2,3
1東京大学医学部保健学科精神衛生学教室
2東京大学医学部脳研究施設
3現:帝京大学医学部精神科
1Department of Mental Health, Faculty of Health Sciences, University of Tokyo
2Institute of Brain Research, School of Medicine, University of Teikyo
キーワード:
Klinefelter
,
Psychological testings
,
Intelligence
,
Mental disorder
,
Sex chromosome
Keyword:
Klinefelter
,
Psychological testings
,
Intelligence
,
Mental disorder
,
Sex chromosome
pp.619-626
発行日 1984年6月15日
Published Date 1984/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203773
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録 精神病院での系統的調査により発見された,16例のKlinefelter症状群に各種心理テストを施行し,得られた結果について文献的考察を加えた。
知能テストの結果では,中等度・軽度遅滞に属する症例が多くみられた。従来本症状群は軽い知能障害を伴うと考えられていたが,文献的に検討すると,その多くは精神障害を伴う本症状群の分析で得られた結果であり,新生児集団には知能障害を認めないものも多かった。このことから知能障害は本症状群の特徴というよりは,得られた集団の性質に依る可能性が示唆された。サブテストでは,言語性IQは動作性IQより低く,従来の知見をうらづけた。これはもっぱら言語性のうち『単語問題』の得点が低いことによっていた。ロールシャッハ・テストでは,『内的空虚さ』や『情動の鈍化』が本症状群に共通した特徴であり,また『特定の外的刺激に対する過敏さ』,『口唇的依存欲求』,『暖昧な性的同一性』などの特性は,精神症状を呈する本症状群の特徴があり,精神障害となんらかの病因的関連をもつと考えられた。
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.