Japanese
English
研究と報告
分裂病様症状を呈したKlinefelter症候群の1例—その発達史と精神病理
A Case of Klinefelter's Syndrome with Schizophrenia-like Symptom: Developmenal history and psychopathology
内海 健
1
,
南光 進一郎
2
Takeshi Utsumi
1
,
Shinichiro Nanko
2
1東京大学医学部分院神経科
2東京大学医学部脳研究施設心理学部門
1Dept. of Psychiatry, Branch Hospital, Univ. of Tokyo
2Inst. of Brain Res., Sch. of Med., Univ. of Tokyo
キーワード:
Klinefelter's syndrome
,
Schizophrenia-like symptom
,
Gender identity
,
Aggression
,
Dependency
Keyword:
Klinefelter's syndrome
,
Schizophrenia-like symptom
,
Gender identity
,
Aggression
,
Dependency
pp.1163-1168
発行日 1982年11月15日
Published Date 1982/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203491
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抄録 分裂病様症状を呈したKlinefelter症候群の1例につき,発達史および精神病理的側面を中心に考察を行った。発達史では幼児期より強力な母子依存関係およびgender identityの障害がみられ,後者は思春期に身体的徴候が出現するのを契機に再び顕在化していることが認められた。また依存的な傾向と対照的に未分化な攻撃性が潜在している可能性が窺われた。精神症状に関しては発病に際し反応性の要素が強く,精神力動が比較的明瞭にとらえられ,また分裂病様症状自体は軽症に経過していることが認められた。このような病像に関して,全般的な防術機制の未熟性や〈依存—攻撃〉による葛藤の単純な処理などの要因が考えられ,発達史上の問題が病像に影響を及ぼしていることが窺われた。
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