Japanese
English
研究と報告
Cotard症状群を呈した初老期うつ病の2例
Two Cases of Presenile Depression with Cotard's Syndrome
奥山 哲雄
1
,
石川 元
1
,
今泉 寿明
1
,
藍澤 鎮雄
1
,
大原 健士郎
1
,
大西 守
2
Tetsuo Okuyama
1
,
Gen Ishikawa
1
,
Toshiaki Imaizumi
1
,
Shizuo Aizawa
1
,
Kenshiro Ohara
1
,
Mamoru Ohnishi
2
1浜松医科大学精神神経医学教室
2東京慈恵会医科大学精神神経医学教室
1Department of Neurology and Psychiatry, Hamamatsu University School of Medicine
2Department of Neuropsychiatry, Jikei-kai Medical College
キーワード:
Cotard's syndrome
,
Delusion of negation
,
Delusion of culpability
,
Cumture conflict
Keyword:
Cotard's syndrome
,
Delusion of negation
,
Delusion of culpability
,
Cumture conflict
pp.383-389
発行日 1984年4月15日
Published Date 1984/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203746
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抄録 近年ヨーロッパでも激減しているとされる14)否定妄想の2症例(46歳女性,52歳男性)を,初老期うつ病の妄想主題選択という視点から考察した。両症例はともにメランコリー親和型の病前性格を持っており,農村の都市化のなかで,かたくなに祖先の土地を守ろうとする価値観と,周囲との関係を円滑に保とうとする価値観の二重性が認められた。またその背後には山口ら19)のいわゆる地域文化摩擦が,彼ら自身の中に認められた。彼らの示した罪責感から否定妄想へと妄想主題が発展してゆく過程は,彼らのおかれた社会文化的背景と密接に関係していた。また治癒過程では彼らの価値感の変遷が認められ,より現代風に統合されていくのが観察された。
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