Japanese
English
研究と報告
筆蹟学の臨床精神医学への応用—書字にみられる自殺サインについて
A Graphological Approach to Clinical Psychiatry: Signs as a suicidal warning found in handwriting
石川 元
1
,
奥山 哲雄
1
,
大原 健士郎
1
Gen Ishikawa
1
,
Tetsuo Okuyama
1
,
Kenshiro Ohara
1
1浜松医科大学精神神経科教室
1Department of Psychiatry and Neurology, Hamamatsu University School of Medicine
キーワード:
Graphology
,
Handwriting
,
Suicide
Keyword:
Graphology
,
Handwriting
,
Suicide
pp.707-713
発行日 1982年7月15日
Published Date 1982/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203439
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抄録 実際に投身自殺を遂げた19歳強迫神経症者の,治療の場で用いられた日記の書字を筆蹟学的手法を応用して分析した。そのさい,書字は行動パターンの一部であるとの視点に立ち,患者の言動(心理状態)の変化と筆蹟の変化とがanalogousであれば,書字の変化から患者の行動パターンを予測できるのではないか,という可能性について述べた。種々の行動のなかで書字行動には心理状態がより反映されるのではないかと考えたからである。そうした立場に立つと筆蹟鑑定でいう「恒常性」に対して疑問が生じてくるが,自殺などの危機的な状況のもとでは「恒常性」の中でのばらつきでさえも,自殺サインとしての意味を帯びた変化が認められるのではないか,と考えている。
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