Japanese
English
研究と報告
無欲状態(apathetic state)を呈した甲状腺機能亢進症の2若年例
Two Young Cases of Hyperthyroidism with Apathetic State
松岡 孝一
1
,
小片 富美子
2
Koichi Matsuoka
1
,
Fumiko Ogata
2
1信州大学医学部精神医学教室
2信州大学保健管理センター
1Department of Psychiatry, School of Medicine, Shinshu University
2Shinshu University Health Care Center
キーワード:
Apathetic state
,
Thyrotoxicosis
,
Euthyroid
Keyword:
Apathetic state
,
Thyrotoxicosis
,
Euthyroid
pp.391-398
発行日 1984年4月15日
Published Date 1984/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203747
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抄録 甲状腺機能亢進症ないしバセドウ病に伴う精神症状はよく知られている。また,その病象は原因の如何にかかわらず,過活動を中心としたある共通した特徴を持っていることも周知の事実である。しかし稀にではあるが,本来の病像とは逆の,すなわち能動性が減退し,感情の表出に乏しく,挙動も遅鈍で活気を欠き,だらしなく無関心な生活態度を示すといったapathetic stateを示すものが存在するという。著者は若年者で,この稀な臨床症状を呈し抗甲状腺剤で精神身体症状の消失した2症例を経験した。症例を検討すると思春期という心身の発達的過程の時期でありapathetic stateの発症に心因あるいは心的外傷体験が状況因子として密接に関連していることが推測された。そこで症例を報告するとともに本来の過活動性を示す甲状腺機能亢進症との相違を検討し,若干の考察を加えた。
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