Japanese
English
短報
急性一過性の否定精神病が出現したアルコール依存症の1例
A Case of Alcoholism with Acute Transient Delusion of Negation (folie des négations)
大原 一幸
1
,
佐藤 典子
1
Kazuyuki OHARA
1
,
Noriko SATO
1
1兵庫医科大学精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, Hyogo Colege of Medicine
キーワード:
Cotard's syndrome
,
Delusion of negation
,
Alcoholism
,
Hallucination
,
Bouffée délirante
Keyword:
Cotard's syndrome
,
Delusion of negation
,
Alcoholism
,
Hallucination
,
Bouffée délirante
pp.1313-1316
発行日 2005年12月15日
Published Date 2005/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100155
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はじめに
否定精神病(folie des négations)とは,耳慣れない言葉であるが酒井ら8)が指摘するように,Cotard3)が1882年の論文において慢性的な否定妄想(病/症候群)から区別する疾患群として挙げているものであり,突然の経過,すなわち突然の発病と終結によって特徴づけられるものである。我々は,アルコール依存症患者の断酒中(断酒後19日)に急性一過性の否定“妄想(délire)”を呈し,否定精神病と考えられる症例を経験した。急性一過性の否定精神病でみられる否定“妄想(délire)”は,慢性状態でみられる否定妄想あるいは否定観念とは異なる側面を呈し,急性錯乱(bouffée délirante)による意識の異常を原因とする知覚・身体感覚の異常な構成として呈示されたものと考えられた。若干の考察を加え報告する。
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