Japanese
English
研究と報告
慢性覚醒剤中毒の臨床的研究
A Clinical Study of Chronic Methamphetamine Psychoses
佐藤 光源
1
,
中島 豊爾
1
,
大月 三郎
1
Mitsumoto Sato
1
,
Toyoji Nakashima
1
,
Saburo Otsuki
1
1岡山大学医学部精神神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, Okayama University Medical School
キーワード:
Methamphetamine psychosis
,
Epidemiology
,
Rireki-phenomenon
,
Organic personality syndrome
,
Effect of neuroleptics
Keyword:
Methamphetamine psychosis
,
Epidemiology
,
Rireki-phenomenon
,
Organic personality syndrome
,
Effect of neuroleptics
pp.481-489
発行日 1982年5月15日
Published Date 1982/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203413
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抄緑 最近の覚醒剤中毒者の臨床を把握し,抗精神病薬がなかった戦後の第一次乱用期における立津らの調査結果と比較するために本研究を行った。10施設を過去3年間に受診した慢性覚醒剤中毒者108名を調査し,次の結果を得た。1)覚醒剤使用以前の患者の状況―ぐれた生活史,暴力団との関係,低学歴と高率の中退,離婚,20%にのぼる精神障害の遺伝負因,高率にみられるmultiple use―は,時代,文化的背景が一変した今日でも,戦後の調査結果と不変であった。2)覚醒剤中毒の入院における臨床像は,DSM-Ⅲ精神分裂病診断基準の急性期症状の大部分を占め精神分裂病との鑑別が困難であること,しかしいくつかの鑑別点を指摘できることを示した。3)抗精神薬の使用で,第一次乱用期にくらべ,幻覚妄想状態はより早期に消褪した。4)「意識障害を伴う」幻覚妄想状態→「意識混濁のない」同状態→著明な器質性人格特徴へ推移する臨床経過,高率にみられた履歴現象型の急性再燃などを示し,幻覚妄想状態を通過症候群ととらえる立場から考察した。
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