Japanese
English
研究と報告
覚せい剤精神病の頻回入院例について
Revolving Door Patients of Methamphetamine Psychosis
中谷 陽二
1
,
坂口 正道
2
,
藤森 英之
3
Yoji Nakatani
1
,
Masamichi Sakaguchi
2
,
Hideyuki Fujimori
3
1東京都精神医学総合究研所
2東京都立松沢病院
3東京都立墨東病院
1Psychiatric Research Institute of Tokyo
2Tokyo Metropolitan Matsuzawa Hospital
3Tokyo Metropolitan Bokuto Hospital
キーワード:
Methamphetamine psychosis
,
Revolving door patient
,
Acute recurrence
Keyword:
Methamphetamine psychosis
,
Revolving door patient
,
Acute recurrence
pp.1327-1334
発行日 1987年12月15日
Published Date 1987/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204438
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抄録 精神科に10回以上の頻回入院歴をもつ覚せい剤精神病の男子患者5例の臨床経過を検討した。(1)入退院をはさんで精神状態が急激に変化しやすく,短期間の入院が繰り返される傾向が特徴的であった。(2)退院後,覚せい剤の再使用,アルコール依存が顕著な例での飲酒,心因とくに単身生活に由来する生活不安がおもな誘因となり,容易に精神病症状の再燃が生じた。(3)入院後,精神病症状の速やかな消退,すなわち2例での症状の消失,3例での症状の著しい緩和がみられた。後者の2例では,誇大的な幻覚・妄想が存続した。消退に関して,抗精神病薬の効果とともに,病院慣れのため入院によって安心感がえられるという心理的効果が重要と思われた。(4)再燃時は患者みずから救助を求めて入院するが,不安が容易に薄らぐことによって治療動機づけが弱まり,受療態度が不良となること,入院の反復につれ医療・福祉機関に依存的となることが,治療上の問題点と考えられた。
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