Japanese
English
研究と報告
精神分裂病者の自殺について—既遂96例の分析から
A Study of 96 Successful Suicides in Schizophrenic Patients
上島 国利
1
,
津村 哲彦
1
,
大内 美知枝
1
,
村尾 修
1
,
橋口 京子
1
,
林 光輝
1
,
服部 宗和
1
,
川原 延夫
1
,
神定 守
2
,
藤井 康男
2
,
長谷川 洋一
2
,
池上 秀明
2
Kunitoshi Kamijima
1
,
Tetsuhiko Tsumura
1
,
Michie Ouchi
1
,
Osamu Murao
1
,
Kyoko Hashiguchi
1
,
Koki Hayashi
1
,
Munekazu Hattori
1
,
Nobuo Kawahara
1
,
Mamoru Kamisada
2
,
Yasuo Fujii
2
,
Yoichi Hasegawa
2
,
Hideaki Ikegami
2
1杏林大学医学部精神神経科教室
2慶応義塾大学医学部精神神経科教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Kyorin University School of Medicine
2Dept. of Neuropsychiatry, Keio University School of Medicine
キーワード:
Suicides by schizophrenics
,
Suicide in mental hospitals
,
Druginduced depression
,
Postpsychotic depression
Keyword:
Suicides by schizophrenics
,
Suicide in mental hospitals
,
Druginduced depression
,
Postpsychotic depression
pp.893-902
発行日 1981年9月15日
Published Date 1981/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203304
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抄録 昭和42年から55年迄に10ヵ所の精神病院で入院中あるいは退院後通院中に自殺した分裂病患者男女計96名について分析した。その結果分裂病者の自殺既遂例では,①自殺時平均年齢は男女共35歳前後で発病から自殺迄の平均期間は10年以上であり,分裂病者の自殺は慢性期に多いことが判明した。②自殺の動機が了解可能だった患者は19.8%あり,①,②の結果は分裂病の自殺が病初期に多く了解不能であるという従来の研究とは異なっていた。この理由の1つとして向精神薬の臨床への導入があげられた。③向精神薬はhaloperidol(HPL)やfluphenazine enanthateの使用頻度が高くHPLは使用量も多く単独使用頻度も高かった。向精神薬による,分裂病に元来備わっている自殺防禦機制の侵害や直接的作用としてのdrug-induced depressionが重要視された。④自殺の予告徴候としてうつ状態,自殺念慮・企図の既往が指摘された。⑤自殺予防のため治療者が家庭環境の調整改善に十分な知識と配慮を持つことの必要性が強調された。
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