Japanese
English
研究と報告
「完全自殺マニュアル」による自殺企図—精神分裂病者の大量服薬
Suicide Attempt Referring to the “Kanzen Jisatsu Manual (Manual for Suicide Attempt)”: intoxication in schizophrenics
上條 吉人
1
,
堤 邦彦
1
,
本田 美知子
2
,
菊野 隆明
2
,
浅利 靖
1
,
相馬 一亥
1
,
大和田 隆
1
Yoshito KAMIJO
1
,
Kunihiko TSUTSUMI
1
,
Michiko HONDA
2
,
Takaaki KIKUNO
2
,
Yasushi ASARI
1
,
Kazui SOMA
1
,
Takashi OHWADA
1
1北里大学医学部救命救急医学
2国立東京第二病院救命救急センター
1Department of Emergency and Critical Care Medicine, Kitasato University, School of Medicine
2Department of Emergency and Critical Care Medicine, National Second Tokyo Hospital
キーワード:
Manual for suicide attempt
,
Bromovalerylurea
,
Schizophrenia
Keyword:
Manual for suicide attempt
,
Bromovalerylurea
,
Schizophrenia
pp.267-273
発行日 1996年3月15日
Published Date 1996/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904061
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【抄録】1993年7月に「完全自殺マニュアル」が発刊され,ブロムワレリル尿素剤をはじめとする市販薬の大量服用による自殺の方法が紹介された。発刊後18か月の間に,9症例が当マニュアルを参考にして自殺目的でプロムワレリル尿素剤を大量服用し,北里大学病院救命救急センターまたは国立東京第二病院救命救急センターに搬送された。そのうち5症例は精神分裂病圏で,致死量を服用していた。いずれも精神科治療歴はなく,被害関係念慮や心気妄想などをきっかけに不登校となり,自殺企図前は無為・自閉的な生活を送っていた。また,動機は漠然としたものが多かった。薬物による自殺企図は他の手段に比して救命率は高いが,当マニュアルに従って薬物を大量服用することはより致死率を高める可能性があり“死のエネルギー”の大きい精神分裂病圏の症例を取り込む結果につながる。日常の精神科診療の中で当マニュアルの存在を念頭の置き問題意識を持って対処しなければならない。
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