「精神医学」への手紙
自殺既遂の症例研究
吉田 勝也
1
1自治医科大学精神医学講座
pp.531-532
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102181
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精神科医が最も恐れるのは,患者の自殺であろう。主治医にとって,その衝撃は大きい。斉藤ら2)は,患者を失った後の喪の作業として,主治医にとって有益だったこととして,上司や同僚との議論,スタッフとのカンファレンス,関連した文献を読むことを挙げている。
筆者は以前,出向を契機に仕事上の目標を喪い,うつ病を発症し,焼身自殺を遂げた症例(Aさん)を報告した3)。Aさんは筆者にとって,自殺を遂げた初めての患者さんである。症例報告は,筆者の喪の作業として,非常に役立ったと感じている。同時に,書いても,書いても書き尽くせない何かがあると思った。
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