Japanese
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研究と報告
精神分裂病者の自殺(前編)—病識のある病者の自殺
Selbstmord bei den Schizophrenen (1)
梶谷 哲男
1
T. Kajitani
1
1中央鉄道病院神経科
1Neuropsychiatrischen Klinik, zentrales Hospital der japanischen Natlonaleisenbahn
pp.37-41
発行日 1965年1月15日
Published Date 1965/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200785
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I.はしがき
自殺の原因を考える場合,Durkheimのように統計的処理によつて,社会的要因におもきをおく立場と,Delmaのように個人的素質におもきをおく立場がある。またBlondelのようにこの両因がなんらかの割合で混り合つていると考える立場もある。
この場合,自殺の原因という漠然としたよびかたをしたが,GauppやGruhleは,原因と動機を峻別し,加藤も,自殺を準備する「自殺傾向」と自殺実行の直接のきつかけとなる「自殺動機」または「結実因子」とを区別している。また,Delmaは,自殺を,事故,痴呆,強制によるえせの自殺と,真の自殺を区別している。Goldsteinは「個人の行動が不注意に死をきたすような破局的事態の無秩序や混乱の結果ひきおこされる死は,自殺とよばれるようなものではない」といつている。大原も,自殺を純粋自殺と偽似自殺に分け,精神病者の自殺をおしなべて後者に属するものと考えているようである。
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