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特集 思春期の精神医学的諸問題—東京都精神医学総合研究所 第7回シンポジウムから
思春期に発病した精神分裂病の経過と予後
Long-term Prognosis and Follow-up in Adolescent Schizophrenia
岡部 祥平
1
Shohei Okabe
1
1東京都精神医学総合研究所臨床心理研究室
1Division of Clinical Psychology, Psychiatric Research Institute of Tokyo
pp.817-826
発行日 1980年8月15日
Published Date 1980/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203135
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I.はじめに
精神分裂病の予後研究は,これまで数多くみられるが1,2),15歳以前の思春期に発病した分裂病についての報告は,本邦ではほとんどその例がない3)。若年に発病する分裂病は,一般に予後が悪いといわれるが,事実はどうなのであろうか。いうまでもなく発達途上にある思春期は,心身ともに揺れ動く特異な時期であり,この時に分裂病が発病すれば,その個人の心理社会的に及ぼす影響は,はかりしれないものがある。精神病に陥入り混乱を招くこと自体が,心理的プロセス(Häfner)4)として尾を引くであろうし,入院生活や,発病に伴う家庭,学校等彼らを取り巻く世界の変化は,人格形成や成熟の上に障害となる。著者は彼らがこうした中で,思春期をどのように乗り越えたか,あるいは挫折をしていったかなど,個々人の生活史,発病状況,治療,経過,転帰について観察してきた。これにより,思春期*に発病した分裂病の実態とその病理を知り,今後の見立てや治療の上に,何らかの寄与し得ることを目指した。
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