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特集 思春期の精神医学的諸問題—東京都精神医学総合研究所 第7回シンポジウムから
思春期患者の入院治療—やせ症を中心に
In-patient Treatment of Adolescent
小倉 清
1
Kiyoshi Ogura
1
1関東中央病院
1Kanto Chūo Hospital
pp.827-833
発行日 1980年8月15日
Published Date 1980/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203136
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Ⅰ.入院治療の対象・適応
思春期患者が入院となるのは,長期にわたる不登校,それに伴う家庭内暴力,自閉的傾向,被害的傾向,激しい強迫傾向,種々の非行,自殺企図,それに思春期やせ症などであろう。これらいずれのケースをとってみても,入院は実際問題としてはむつかしい。本人は入院は勿論,治療はすべて拒否するということが多いし,第一,親はそんなことを本人に向ってきり出せるような余裕も勇気もない。全く動きがとれない状態になっているのである。親は時として子どもが展開するひどい状態に耐え忍び,想像をこえる生活様式を自らに強いることがある。どうしてそんな状態に耐えられるのかと不思議な位である。親の側にはそれなりの心理的な理由があるのであろうし,一方子どもの方はそれを承知で100%利用しているといった場合がある。
患者本人が治療を拒否している以上,それは治療の適応ではないとする向きもあろうが,しかし,言葉や行動では拒否していても,本当のところはそうでないこともあるのである。それは治療そのものを拒否しているのではなく,治療をすすめる人が本当に真剣に覚悟の程をきめた上でそうしているのかどうかを試したいためであることがあるのである。
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