Japanese
English
紹介
—精神分裂病の最近の話題・1—精神分裂病の発病,経過および治療と家族内の要因
Family Factors and the Onset, Course and Treatment of Schizophrenia
Goldstein, M. J.
1
,
岡崎 祐士
2
,
道辻 俊一郎
2
,
中根 允文
2
Michael J Goldstein
1
,
Yuji Okazaki
2
,
Shun-ichiro Michitsuji
2
,
Yoshibumi Nakane
2
1UCLA心理学
2長崎大学医学部精神神経科学教室
1Department of Psychology, University of California, Los Angeles
2Department of Neuropsychiatry, School of Medicine, Nagasaki University
pp.1077-1083
発行日 1989年10月15日
Published Date 1989/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204788
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■はじめに
私はこの論文で3つの点について述べる。それは精神分裂病患者の家族内における人間関係が精神分裂病の発病可能性と関連するか否か,家族内の関係のあり方によって発病後の短期経過を予測できるか否か,そして,家族レベルへの働きかけによって分裂病の短期経過を変えうるか否かの3点である。
論述の理論的基礎は,素因—ストヒス・モデル(Rosenthal,1970)にある。このモデルによれば,ある個人の分裂病に対する脆弱性は,ある種の生物学的素因と,成長期および発病前後の生活ストレスの衝撃との関数的総和によることが示唆されている。したがって,この生物学的素因と集積された生活ストレスとの相互作用効果を述べることにする。また,このモデルは分裂病の経過を考える上でも有用である。発病後には脆弱性が存続し,それがストレスと作用し合って,再発をも左右すると考えられるからである。
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