Japanese
English
研究と報告
家族全成員に発病した精神分裂病の1家系例
A schizophrenic family in which both parents and all 4 children were affected
融 道男
1
,
小林 暉佳
1
,
高橋 良
2
,
石井 清
3
M. Tōru
1
,
T. Kobayashi
1
,
R. Takahashi
2
,
K. Ishii
3
1芹香院
2東京医科歯科大学神経精神医学教室
3鎌倉脳病院
1Kinkōin
2Department of Neuropsychiatry, School of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
3Kamakura Psychiatric Hospital
pp.147-152
発行日 1961年2月15日
Published Date 1961/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200303
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I.はじめに
精神分裂病の遺伝生物学的研究は,さまざまなかたちで進められているが,ひとつの興味ぶかい方法は,両親がともに分裂病者の家系についてのSchulz, B. 13),Elsasser, G. 4)らの報告である。ElsasserはKahn, E.,Schulzの集めた症例のうち,非定型分裂病および診断の不確かなものをのぞいて自己の統計に加え,分裂病両親の子供の,分裂病に対する罹病危険率を39.2%とした。
われわれの症例は,現存の家族5人が,すべて分裂病と診断されており,調査の結果,死亡した父親も分裂病であつたと推定され,この疾患が1家族全成員に発したという例であつて,このような例はSchulz,Elsasserの各症例をみても,子供が1人で両親と計3人の家族が分裂病者である2家系例以外には見出すことができない。
わが国では,最近社会心理学的立場から1家系例が発表されている7)が,このような例はきわめてまれなものと思われるので,調査しえた範囲を報告する。
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