Japanese
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展望
精神分裂病の長期予後
Long-term Prcgncsis of Schizophrenia: Areview
横井 晋
1
Susumu Yokoi
1
1横浜市立大学医学部精神医学講座
1Department of Neuropsychiatry, Yokohama City University School of Medicine
pp.6-19
発行日 1986年1月15日
Published Date 1986/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204081
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I.はじめに
少し年を取った精神科医ならば,自分の周囲に数十人の分裂病者を抱えているだろう。
この人達の話を聞いたり,慰めたり,励ましたりするのがわれわれの仕事である。時には夜間突然電話を掛けてきて,隊の人が俺を馬鹿にして挨拶しても返事もしないと訴えてきたり,いい加減に電波をかけて俺のやることに干渉するのは止めてくれ,この馬鹿野郎と怒鳴られたりする。こんな人はよく聞いてみると最近通院していなかったり,薬が切れて服薬していない人が多い。このような患者を導いていくのはわれわれの努めである。
しかし一番困難なことは初診時に予後を判定することで,Kraepelinの早発性痴呆はその名の如く予後不良を想定した病名であった。しかし初診の際にこれをこれを判定することは至難の業である。Carpenterら29)は症状を得点により評価する方法で,最高,最低点をとった20人ずつの患者の5年後の予後を調査した。その結果多くの症状の中で唯一信頼できるのはrestricted or flattened affective expression即ち常人のような情緒的反応が欠如し,空虚で表情の乏しい顔付の如き症状のみが予後不良と明らかな相関をもち,他の症状はいずれも確かに有意なものはなかったという。
わたしはここで従来の文献を概観し,自らの経験をふまえてわたしなりの予後論を述べてみたい。本文に先立って数例の症例を簡単に述べることをお許しいただきたい。この人達は日常の診療で付き合っている愛すべき人々である。
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