古典紹介
—Adolf Meyer—The Dynamic Interpretation of Dementia Praecox
西丸 四方
1
,
大原 貢
1
Shiho Nishimaru
1
,
Mitsugi Ohara
1
1愛知医科大学神経精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Aichi Medical College
pp.895-906
発行日 1974年10月15日
Published Date 1974/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202232
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近年にいたるまで,科学的な医学の望みはあらゆる病的状態をなにかの解剖学的損傷にさかのぼらせることにありました。そうすると「これまでにはいまだいかなる病理学的所見」もない大きな領域が残るのは避けられず,混とんは避けられないのではないかという疑念が残ります。けれども最近十年間の趨勢と生物学的血清反応による経験と,特に精神医学の進歩は,生体事象の機能的および生物学的考察方法を非常に強めました。それゆえ病理学の仕事は主として諸々の因果連鎖とか条件を実験の正確さによって決定することにあるように思えます。そうすると傷害というものは,力動的発展すなわち原因(あるいは条件)と結果という概念で理解される広い範囲の中の単なる事実とか症状という価値しかないのです。
このような機能的な考察方法によると諸事実をわれわれが見るがままに配列してもよいという大きな利点があるのです。
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