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Clinical Neurologyという表題はよく用いられるが,Medical Neurologyという表題はあまり用いられない。表題だけからみると,特殊な観点に立つて書かれたNe—urologyの本のように思われるかも知れないが,内容は神経内科学そのものである。初版は1969年に発行され,720頁にまとめられていたが,第2版は1975年発行で769頁に増頁されている。病因,診断,治療に関する最新の知見が多数盛り込まれ,脱髄性疾患,変性疾患,中毒並びに代謝性疾患,小児神経学,筋疾患の部分が大幅に改訂されたからである。
本書は,神経学的検査法と神経系の機能と構造,小児神経学,脱髄性疾患,中毒並びに代謝性疾患,頭痛,てんかん・失神,感染性疾患,外傷,脳血管障害,腫瘍,末梢神経疾患,筋疾患などの12章からなつている。小児神経学の章には最新の生化学的知見が折り込まれ,簡明な記述がなされている。脱髄性疾患が第3章に当てられたのは,この疾患の場合には色々な神経系統が障害され,様々な神経症状が出現するからである。ここでは脱髄を起こす遺伝性疾患と非遺伝性疾患とがとり挙げられ,本症に関する最新のウィルス学的,免疫学的研究成果が要約されている。変性疾患の章では,パーキンソン病とかハンチントン病のような,不随意運動に関する部分が大幅に改訂され,特にこれらの疾患における神経伝達機能の障害に関する新知見が詳しく説明されている。中毒並びに代謝性疾患,およびてんかん,失神,頭痛に関する章にも,最近数年間のこの方面の新知見が盛り込まれ,感染性疾患の章では,昔難治とされたこれらの疾患が今や治療可能な,予防し得る疾患となつたことが明らかにされている。交通機関の発達と共に増加しつつある外傷の章では,硬膜外並びに硬膜下血腫の緊急性が強調され,これらの疾患に対する早期診断法が記載され,最後の章の筋疾患のところでは,新しい電気生理学的診断法と生検方法についての説明が詳細になされている。
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