Japanese
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研究と報告
非定型精神病2例にみられた宗教性について
Zur Psychopathologie der atypischen Psychosen. Ihre Beziehungen zur Religiosität
松橋 俊夫
1
Toshio Matsuhashi
1
1名古屋市立大学医学部神経精神医学教室
1Neuropsy-chiatrische Klinik der Städtischen Universität Nagoya
pp.579-585
発行日 1974年6月15日
Published Date 1974/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202186
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I.はじめに
宗教の領域はきわめて広汎であり,宗教の本質は深淵である。したがってここで取り扱う宗教性とは,病者が神であると信じる存在と関わりを持つ時,必然的に生じる感情・行為・経験などを中心にして,そこから導き出された生存のあり方をさしているのであって,一般的な意味での宗教とは異なる個別的な宗教性にすぎない。本論では,その個別的な宗教性を精神病理学的に考察することによって,非定型精神病者の内的世界の本質分析を試みようと考えている。
すなわち,彼らの宗教的体験にはどのような特有性があるのか,また個別的な宗教性は彼らにとってどのような存在的意味を持っているのか,そして宗教的体験を経由することは彼らの治癒後の実存にどんな意味を投げかけるのかということなどが考察の対象になる。
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