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非定型精神病は,すでに第58回日本精神神経学会および第3回世界精神医学会議(1961)でもシンポジアムの主題として取り上げられているが113),これと前後してわが国でも非定型精神病に関する研究報告が数多くみられる。主として躁うつ病と精神分裂病の間にあって,その経過,病像の点で両疾患の性質をかねそなえるために中間例として考えざるを得ないような疾患群は,Kraepelinによる早発性痴呆と躁うつ病の区別を基本とした精神医学大系が生まれてからの問題であったとみるのが正しいであろう。そして,内因性精神病が精神病理学的な状態像と経過に基づいた単位にとどまっている限り,またこれらを類型学的なものとしてみない限り,避けることのできない問題でもある。
非定型精神病に関しては,遺伝精神医学的立場から定型群とは相違するものとして,これの分離を早くから主張していた満田はいうまでもなく56,57),桜井87),黒沢43),諏訪103)らによってまとめられている。とくに諏訪は,「非定型精神病の概念」と題する本誌展望(1963)の中で,1)これらを独立した疾患単位として認めようとする,Schroder,Kleist,Leonhardらの変質精神病に発する考え方,2)分裂病と躁うつ病の間にある非定型病像ないし中問例を類型学的な見方によって処理し得るとするJaspersやSchneider, K. そしてPauleikhoffらの見解,ならびに 3)Kraepelinによる二分主義を認める点では類型学的立場と近似するが,体型や性格,そして遺伝的要因を考慮することによって,非定型精神病は精神分裂病と躁うつ病の混合であるとするGaupp,Mauz,Kretschmerらの諸論を詳細に述べている。
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