Japanese
English
展望
精神医学と宗教(その2)
Psychiatry and Religion (2)
三浦 岱栄
1
T. Miura
1
1慶応大学医学部神経科
1Dept. of Neuropsychiat., School of Med., Keio Univ.
pp.397-405
発行日 1965年5月15日
Published Date 1965/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200846
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I.“狂信者”の精神医学的考察
狂信者Fanatikerというのは何も宗教の信者にのみ限つているわけではないが,宗教信者に最も多いことは周知の事実であり,ここではもつぱら“宗教的熱狂者”の精神病理を取扱うことにする。
Guiraudはその著Psychiatrie Clinique30)において“熱狂性精神病”psychose passionelleを記載したが,広い意味ではパラノイアに入るものもあるし,またKurt Schneiderの“熱狂性精神病質”fanatische Psychopathenに入るものもあろう。政治的・社会改良的・発明的その他いろいろあるが,宗教団体,ことにいわゆる“新興宗教”団体に属しているものに最も多くみられる。一時的のこともあり,終生つづくこともあるが,psychosepassionelleと呼ばれるものは,もちろん終生つづくものを指している。いずれにせよ常人でないことは明らかであるが,これはまた教祖の問題にも関連があり,精神衛生学的にはいたつてデリケートな幾多の問題を包擁している。そしてまた,宗教に限つてこの問題を論じようと思つたら,さらに“宗教精神病理”Religionspsychopathoiogie一般について知るところがなければならない。
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