Japanese
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研究と報告
抗てんかん剤長期服用中に併発したクル病の3例
Three Cases of Rickets Following Long-Term Anti-Convulsant Therapy
諸治 隆嗣
1
,
鈴木 ゆり
1
,
浅野 裕
2
,
高橋 三郎
2
,
小林 義康
2
Takashi Moroji
1
,
Yuri Suzuki
1
,
Yutaka Asano
2
,
Saburo Takahashi
2
,
Yoshiyasu Kobayashi
2
1東京都精神医学総合研究所精神薬理部門
2北海道大学医学部精神医学教室
1Division of Psychopharmacology, Psychiatric Research Institute of Tokyo
2Dept. of Psychiatry and Neurology, Hokkaido Univ. School of Medicine
pp.567-577
発行日 1974年6月15日
Published Date 1974/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202185
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I.はじめに
てんかんの治療は薬剤療法が主体となっており,その薬剤効果を望むためには長期間にわたる規則正しい服薬が原則とされている。また発作型によって薬剤の種類を選択しなければならず,さらに日常の診療にあたっては,2種類以上の薬剤を併用することによってはじめて発作抑制効果の得られることは,しばしば経験されるところである。したがって抗てんかん剤の投与にあたっては,副作用に対して十分な注意が払われなければならないことはいうまでもない。これまで肝機能障害,造血器官障害,胃腸障害,歯肉増殖,多毛,羞明,発疹,発熱,運動失調などのいろいろな副作用が報告されている。
ところで,最近,諸外国において長時間にわたる大量の抗てんかん剤の服用によってクル病や骨軟化症の生ずることが報告され,抗てんかん剤がvitamin D代謝あるいはCa代謝の異常を惹起し,症状発現に重要な役割を演じていると想定され注目を集めるようになっている9,35,45)。
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