Japanese
English
研究と報告
アルコール幻覚症者の体験と行動—救助を求める行動としての放火
Arson as Help-Seeking Behaviour of the Alcohol-Psychotics
福島 章
1
Sho Fukushima
1
1東京医科歯科大学犯罪精神医学教室
1Dept. of Criminal Psychiatry, Tokyo Medical and Dental Univ.
pp.349-358
発行日 1974年4月15日
Published Date 1974/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202162
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(1)アルコール幻覚症による放火の3例と,アルコール幻覚症類似の症状を示した覚醒剤中毒による放火の1例を報告した。
(2)包囲攻撃状況,被害妄想など,従来アルコール幻覚症に特徴的とされていた症状が,他の薬物乱用によっても認められること,これらの妄想内容と患者の置かれている「たよりない状況」との間には心理的了解関連を認め得ることを論じた。
(3)従来の文献によれば,アルコール幻覚症者の問題行動として逃走,自殺,まれに殺人が報告されているが,本論文の症例がすべて放火であったことの理由を考察した。彼らは「たよりない状況」において,当然援助を求める欲求を抱くであろうが,それが放火などの行動として遂行される背景には,依存欲求の抑圧をかならずしも強制しない日本的心性などの関与が推測される。
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