Japanese
English
研究と報告
前頭葉損傷の臨床的考察—III.前頭葉ロボトミー後の精神身体症状
Clinical Observation of Prefrontal Lesions : III. Psychic and Somatic Symptoms of the Prefrontal Lobotomy, Report of Two Cases
横井 晋
,
土屋 佑一
,
神岡 芳雄
,
堀口 佳男
Susumu Yokoi
,
Yuicht Tsuchiya
,
Yoshio Kamioka
,
Yoshio Horiguchi
pp.67-74
発行日 1973年1月15日
Published Date 1973/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201977
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I.緒言
前稿では前頭葉ロボトミーを受けた精神分裂病の1症例について,その複雑な精神症状について述べた。このような症例は慢性分裂病の欠陥状態として,精神病院の慢性病棟の中に埋もれてしまう可能性が大であることを案じたためである。本稿でも手術後14年を経過した精神分裂病の2症例をとりあげた。以上の3例は前頭葉白質に充分な切截が加えられたと考えられるものである。今回はこれら症例の特異な失禁状態と異常な食欲亢進その他を考察の中心として論じる。
前頭葉ロボトミーの脳に対する影響は,前頭葉だけの問題でなく,すでに組織学的に証明され,また脳波および気脳写の所見からも明らかなようにその影響はほぼ全脳に及んでいる。臨床像としての把握もそれを充分考慮すべきである。前頭葉損傷は全脳に影響を及ぼし,ただその局所症状としてだけみるべきでないことを前書きしておく。
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