Japanese
English
研究と報告
前頭葉腫瘍の2症例—その精神症状(意欲障害)について
Two Cases of Brain Tumor of the Frontal Lobe: In respect of mental disorder (disturbance of will)
井坂 健一
1
,
横井 晋
2
Kenichi Isaka
1
,
Susumu Yokoi
2
1群馬大学医学部精神神経科
2横浜市立大学医学部精神神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, Gunma University School of Medicine
2Dept. of Neuropsychiatry, Yokohama City University School of Medicine
pp.1349-1355
発行日 1979年12月15日
Published Date 1979/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203034
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I.はじめに
前頭葉損傷患者がしばしば狭義の精神障害と診断されて,明らかな器質性変化の症状を示すまで精神分裂病その他とされて,各種の治療を受けている例は稀ではない。
Direkzeらは前頭葉脳腫瘍の患者では当初身近かな友人や親族によってはじめて気付かれるような微妙な人格変化を起こす者が多く,彼らの25例中11例はそのような人格変化で始まり,5例は最初精神科病棟に入院していた。1例はアルコールを多量に飲んでおり,計68%の患者が何らかの精神障害を示していたという。Pick病についても同様な観察がある。
ここに述べる第1例も当初精神分裂病と誤診され,けいれん発作を起こした後に脳腫瘍が発見された。他の1例を加えて右前頭葉腫瘍による精神症状,とくに意欲障害について述べようと思う。
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