Japanese
English
脳の生理に関するシンポジウム 脳の外科を中心に
前頭葉ロボトミー
Prefrontal Lobotomy
広瀬 貞雄
1
Sadao Hirose
1
1都立松沢病院
1Matsuzawa Mental Hospital
pp.23-32
発行日 1957年4月1日
Published Date 1957/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901565
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まえおき
ロボトミーを中心とするいわゆる精神外科は,今や精神科領域における実用的な治療法として広く用いられるようになつたが,それについてはなお多くの誤解があり,一部の精神医学者はロボトミーを危険な有害無益の治療法として白い眼で見ているようである。しかし,この種の手術が従来の方法で見捨てられた或る種の状態像に対して治療的価値があることは疑いのない事実であり,同時にそれが我々の知識の現在の段階における最後手段としての治療であると考えられる。
最近の趨勢として,クロールプロマジンやレセルピンによる薬物療法が盛んに行われるようになり,それによつて不安や攻撃的な態度が除かれるところから"chemical lobotomy"或は"pharmachological lobotomy"と呼ばれるまでに普及しているが,その効果は一時的であることが多くロボトミーに代るべき方法として認められるには至つていない。一方ロボトミーに対する現在の大きな批判の対象は副作用としての人格変化の問題であるが,これとても術式の撰択によつてそれを最小限に止めることが出来るのである。
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