Japanese
English
研究と報告
有機溶剤酩酊下の犯罪の司法精神医学的考察
A Forensic-Psychiatrical Consideration on the Offences committed under the Influence of Glue Sniffing
小田 晋
1
Susumu Oda
1
1東京医科歯科大学犯罪心理学研究室
1Dept. of Criminal Psycholog and Forensic Psychiatry, Tokyo Medical & Dental University
pp.55-65
発行日 1973年1月15日
Published Date 1973/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201976
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1)有機溶剤の吸入による酩酊状態において輪姦を行なった鑑定例,および窃盗・住居侵入を行なった鑑定例を報告し,あわせて有機溶剤酩酊下の犯罪の諸類型をとくにその刑事責任能力との関係において考察した。
2)有機溶剤酩酊下の犯罪の刑事責任能力については,酩酊の精神作用,犯罪に及ぼす影響の可能性の類型の可能性を考慮して,原則的に次のように考えることができた。
a)意識障害および夢幻状態があり,幻覚,妄想に支配された犯罪——心神喪失(原因において自由な行為を除く)。
b)意識障害下の運動暴発による犯罪——その程度に応じて心神喪失または耗弱。
c)意識清明で,抑制欠如,気分変化のみ存在する場合の犯罪——原則として完全責任能力,とくに高度の場合心神耗弱。
3)上記の原則を具体的な鑑定例に適用するさいには,供述の信憑性について慎重な検討が必要である。
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