Japanese
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特集 社会のなかの精神科医
時代の証人としての精神科医
On the Psychiatrists' Role as the Testifiers of their Epoch
小田 晋
1
Susumu Oda
1
1東京医科歯科大学犯罪心理学教室
1Dept. of Criminal Psychology & Forensic Psychiatry, Institute of Forensic Sciences, Tokyo Med. & Dent. Univ.
pp.1029-1035
発行日 1970年12月15日
Published Date 1970/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201687
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精神医は文化総体のなかで,その機能をはじめは呪術医から,つぎには他の身体医学諸部門から分化させてきた。精神医はその取り扱う精神障害というものの本質上,同時代の社会および文化総体の状況,とりわけ時代精神を観察し,これに関与することになり,その場合の志向が治療的なものとなるという特性をもつ。小論ではおもに精神医の側からの,精神医学の方法論を通じての同時代の状況,とりわけ時代精神の病理に対する記述と解明のありかたを,近代精神医学の創立期から身体論的精神医学,精神分析,実存分析,現象学的—人間学的および弁証法的の各系列のなかに整理し,精神医の社会および文化総体に対する関与のしかたはその内部における(比喩的に用いられた)participant observerとしての役割りに帰着すること,その場合認識と実践の根源性は必ずしも一致しないが,すくなくとも精神医としての主体的な観察の視点を拠棄することの不毛であることを述べた。
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