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われわれ医師は,稀に裁判に呼ばれて証人として供述を求められることがあります.これを証人尋問といい,本人尋問,鑑定人とならび,人を証拠方法とする証拠調べ(人証)の1つです.法は,「裁判所は…何人でも証人として(これを)尋問することができる」(民事訴訟法190条,刑事訴訟法143条)と規定しており,われわれは,出頭義務,宣誓義務,供述義務といった公法上の一般的義務を負担しています.
まず証人は,原則,宣誓書を朗読し,これに署名押印しなければなりません(民事訴訟規則112条3項,刑事訴訟規則118条3項).その宣誓書には,「良心に従って真実を述べ,何事も隠さず,また,何事も付け加えないことを誓う旨」(民事訴訟規則112条4項,刑事訴訟規則118条2項)が記載されています.証人尋問の方法は,戦後,英米式の交互尋問制度に変えられました.具体的には,民事裁判の場合,尋問の順序は,①尋問の申出をした当事者の尋問(主尋問),②相手方の尋問(反対尋問),③尋問の申出をした当事者の再度の尋問(再主尋問)となります(民事訴訟法202条1項,民事訴訟規則113条1項).このとき,尋問者が期待している回答が暗示されているような尋問(いわゆる「誘導尋問」)は,原則禁止ですが(民事訴訟規則115条2項2号.ただし,正当な理由があれば可能),刑事裁判の場合は,主尋問においてのみ原則禁止(ただし,例外あり)で(刑事訴訟規則199条の3第3項),反対尋問では必要があればできると規定されています(同199条の4第3項).以上のような証人義務に対し,正当な理由がなく違反しますと,「10万円以下の罰金又は拘留」(民事訴訟法200条,193条1項,刑事訴訟法161条)の罰則が課せられることになります.
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