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研究と報告
刑法改正に関する私の意見 第4篇 みずからまねいた精神障害(その3)—責任論
My Opinions on the Reform of the Criminal Law
田村 幸雄
Yukio Tamura
pp.199-202
発行日 1970年3月15日
Published Date 1970/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201588
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Ⅰ.酩酊犯罪に対する刑罰
酩酊犯罪者にどの程度の刑を科すべきか,かかる者の改善や予防をどうするかは,いつの時代でも,どこの国でも重大な問題で,各国の関係学会ではしばしばこれに関するシンポジウムなどが開かれ,検討されてきた。酩酊犯罪者の刑罰史や各国の制度についての比較に関する文献も少なくない。著者の眼を通した主なものをあげると,昭和33年に日本刑法学会が共同研究として「酩酊者に対する立法措置」がとりあげられたが,その内容は「酩酊と刑事責任」という書で発表されている1)。このなかには,数人の学者により欧米諸国における酩酊犯罪者の刑罰史をかなり詳細に紹介されている。また,Rylanderは欧米諸国における酩酊犯罪者に関する法を書いている2)。Whitlockは英国におけるこの方面の史的回顧を述べている3)。そこで,ここでは反復を避け,これらに関する時代の流れを総括的に眺めようと思う。
1)古い時代には,一般に刑を減免する理由とならぬばかりか,むしろ,酩酊なるが故に刑を加重することが多かった。これは酩酊者に対する社会感情の反映であり,刑事政策的考慮(こんな言葉は用いられなかったが)が重点をなしていたからである。現在でも酩酊運転事故の処罰にこの傾向が見られる。
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