Japanese
English
研究と報告
刑法改正に関する私の意見 第3篇 保安処分の諸問題(その1)—精神障害者の犯罪
My Opinions on the Reform of the Criminal Law
田村 幸雄
Yukio Tamura
pp.685-691
発行日 1969年9月15日
Published Date 1969/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201513
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
中世キリスト教時代,欧州では犯罪者と精神病者はともに悪魔の所為と考えられた。精神病者では招かないのに悪魔が患者の体内に侵入して発狂せしめ,犯罪者では自らの意志で自己の体を悪魔の住居に提供したためと考えた。したがつて両者の取扱いには共通したところが多く,あるいはこれらを鞭打ち,あるいは手かせ足かせをしたり,追放したり,また,悪魔はらいの儀式などをしたが,これらはすべて理由あるものとされた1)。
現代では,かかる極端な考えはほとんど姿を消したが,なお,その名残りはみられ,一般民衆の心のなかには,両者は近縁のものであり,ともに拘禁すべきものであるという考えが消えていない。
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.