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研究と報告
森田療法における諸問題—ヒポコンドリー性基調
Some Problems on Morita Therapy: Hypochondriac Disposition
大原 健士郎
1
,
藍沢 鎮雄
1
Kenshiro Ohara
1
,
Shizuo Aizawa
1
1慈恵会医科大学精神神経科教室
1Dept. of Neurol. & Psychiat., Jikei Univ. School of Med.
pp.185-190
発行日 1970年3月15日
Published Date 1970/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201586
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Ⅰ.はしがき
「ヒポコンドリー性基調」という概念は,森田理論の中核をなすものであり,森田理諭がこの概念と思想の矛盾,精神交互作用を中心として発展してきたことは周知のとおりである。この故もあって,森田の後継者たちの多くは「此の陳腐なる言葉を用いて」1)この概念を遵奉し,ほとんど手を加えることなくその理論構成に生かそうとしてきた。この概念を検討し,別の角度から考察することは,森田療法家にはタブーですらあった。しかしこの概念も,森田独自の概念設定と理論構成の故に,必ずしも明確ではない。森田は論文・随筆・形外会などで折にふれてこの概念をとりあげたが,ある場合には素質との関連性を重視し,ある場合には環境説をとり入れ,そしてまた次の時点には素質論に戻るなど,経時的にみてその理論的発展も迂余曲折を経たため,その理解をさらに困難にしている傾向がある。そこでわれわれは,先の論文2)に準じて,この概念に関連した森田による資料をできるだけ多方面から集め,それからヒポコンドリー性基調の最大公約数を求め,共通の討論の場を設けて論を進めたいと思う。われわれは,これまでにも折にふれてこの概念に接してきたが2)3),この論文では,まずこれまでのわれわれの主張から次の2点を改めてとりあげておきたい。
(1)ヒポコンドリー性基調とヒポコンドリー性(死の恐怖)とは区別して考える。
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