Japanese
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研究と報告
森田療法における諸問題—生の欲望
Some Problems on Morita Therapy: Desire to Live fully
大原 健士郎
1
,
藍沢 鎮雄
1
Kenshiro Ohara
1
,
Shizuo Aizawa
1
1慈恵会医科大学精神神経科教室
1Dept. of Neurol. & Psychiat., Jikei Univ. School of Med.
pp.111-116
発行日 1969年2月15日
Published Date 1969/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201438
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Ⅰ.はしがき
「生の欲望」という概念の設定は,森田の基本的な考えかたの一つであるが,この言葉はヒポコンドリー性基調・とらわれ・あるがまま,などとともに,森田によつて常時使用され,その後も森田学派によつて忠実に継承されてきた。森田はこれらの言葉を,厳密な説明を要しない,それでいてだれにでも理解できる,いわば公理としてもちいた傾向があるが,この概念はかならずしも明確とはいえない。とくに森田は,論文・随筆はもとより,形外会や講演会などでも折にふれてこの問題をとりあげ,「ヒポコンドリー性基調」に対すると同様に種々の概念をこのなかに盛り込んだだめ,かれが「生の欲望」を具体的にどのように規定していたかを知るには,まず森田の資料を十分に集め,それから最大公約数を割り出し,論を進めるのが妥当のように思われる。この「生の欲望」については,すでにわれわれも1)簡単にふれたが,上述の意味から,この小論では森田の文献の記載とその検討を行ない,それについての一私見を述べ,さらには森田神経質の不純型の問題にも言及したいと思う。
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