Japanese
English
研究と報告
森田療法の諸問題—治療環境を中心に
Some Problems on Morita Therapy: Especially on the Therapeutic Situation
藍沢 鎮雄
1
,
大原 健士郎
1
Shizuo Aizawa
1
,
Kenshiro Ohara
1
1慈恵会医科大学精神神経科教室
1Dept. of Neurol. & Psychiat., Jikei Univ. School of Med.
pp.105-110
発行日 1969年2月15日
Published Date 1969/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201437
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I.はじめに
森田療法はその本質さえ見失わなければ,どんな場所でも実施できるといわれる。事実,通信療法による日記指導のみで治療が成功する場合もある。その反面,絶対臥褥をぬいては森田療法はありえないとも主張される。極論すれば,絶対臥褥の場と適当な作業環境さえあれば治療者不在でも治療可能であると説かれる。一方,絶対臥褥で象徴されるのはわが国の上下の身分秩序に拘束された文化的所産であるともいわれる。従来の外国の反響のなかで森田療法にもつとも深い理解を示したLeonhard, K. 教授すら,絶対臥褥だけはドイツ人に適用できなかつたと述べている1)。
以上の諸説からもわかるように,森田療法の治療環境の意味はなお混沌としている。治療環境そのものを主題にした論文もまだみあたらない。本稿ではまず森田療法の基本的な考えかたをたどり,つぎに森田以降の諸説を紹介し,最後に若干の私見を述べたい。
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