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研究と報告
刑法改正に関する私の意見 第3篇 保安処分の諸問題(その2)—保安処分
My Opinions on the Reform of the Criminal Law
田村 幸雄
Yukio Tamura
pp.765-772
発行日 1969年10月15日
Published Date 1969/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201522
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Ⅰ.措置入院と保安処分
精神衛生法(以下法と略記)の措置入院制度が適正に行なわれるのであれば,準備草案における保安処分の規定は不要となるはずである。なんとなれば,前者によつて精神障害者に対する保安の目的が十分に達せられるからである。
法家は措置入院の実状や精神科医に対して,危惧と不信をもつているようにみえる。法務省刑事局が行なつた「保安処分に関する特別調査」によれば,(1)準備草案の意味の保安処分を認めたケースについて24.3%はなんら処置されていない。(2)たとえ,入院させてもその患者が危険で保安上の必要があるにもかかわらず,精神病院の都合で退院させられている。検察庁によつて,病院と連絡をとり危険な患者が早期に退院することのないように努力しているところもあるが,この手続きは法的根拠を持つているわけでない。法務総合研究所の調査によると,東京地方検察庁で取扱い精神病院収容の処置をとったもののうち,軽快または不完全のまま通院しているものは20%をこえるという1)2)。
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