Japanese
English
展望
日内リズムの測定—精神疾患研究の1方法として
Estimation of the Circadian Rhythm: A Method for the Physiological Research in Mental Disorders
山下 格
1
,
諸治 隆嗣
1
Itaru Yamashita
1
,
Takashi Moroji
1
1北海道大学医学部精神医学教室
1Dept. of Psychiat. Neurol., Hokkaido Univ. School of Med.
pp.748-763
発行日 1969年10月15日
Published Date 1969/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201521
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はしがき
生命の流れには,さまざまなリズムがある。たとえば心臓の搏動はひとつのリズムである。われわれが朝に起きて働き,夜にやすむのも,1日を周期としたリズム活動にほかならない。婦人の月経周期も,ほぼ1カ月を単位とした生体のリズムといえる。極端なことをいうと,生まれおちてやがて青年に達し,新しい生命をはぐくみ,いつか年老いてゆく人間の一生も,くり返しのない一回かぎりの生命の律動とみなすこともできる。
これらのリズムのうちでも,ほぼ1日24時間を周期とするリズム,すなわち日内リズム(circadian or diurnal rhythm,circa=about,dies=day)をもつ生体機能は,非常に数が多く,生命の維持に重要な役割をになつている。たとえば睡眠・覚醒のパターンにはじまつて,体温,尿量,血中や尿中の電解質,種々のホルモン分泌,各種の血球数,血沈,各種酵素活性,さらには肝の細胞分裂頻度,燐酸取り込み率,グリコーゲン含量などにいたるまで,外界の条件とは別に,身体内にあると想定される時間的変動の仕組み——しばしば象徴的に体内時計(biological clock)とよばれる——によって規制されていることが知られている。
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