Japanese
English
研究と報告
月経周期と関連した宗教的憑依妄想の1例について
On One Case of Religious-obsessional Delusion Accompanying with Menstrual Cycles
前田 利男
1,2
,
内藤 明彦
3
Toshio Maeda
1,2
,
Akihiko Naito
3
1新潟大学医学部精神医学教室
2新潟精神病院
3新潟大学医学部脳研究所神経生理部門
1Dept. of Psychiatry, Niigata Univ. School of Med.
2Niigata Mental Hosp.
3Dept. of Neurophysiology, Brain Research Institute, Niigata Univ.
pp.773-779
発行日 1969年10月15日
Published Date 1969/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201523
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序文
病的な宗教現象のなかで,とくに私たちの興味をひくものは,恍惚状態をともなつた憑依現象であろう。定型的な憑依状態では,一過性の人格変換が起こり,その信仰する神,霊,または狐などに相応する言動を行ない,幻聴,憑依妄想(または観念)が生ずるとされている。
私たちは今回,このような宗教的な恍惚状態をともなつた憑依状態と同時に,またはその直後に,激しい色情的な恍惚状態を起こし,色情的な興奮や奇行を示しながら,関係妄想,被害妄想,心気妄想(または観念)をもち,しかもこの宗教的恍惚状態と色情的恍惚状態とが,月経周期と関連して発現するという1症例に接する機会をえたので,ここにその症例を報告し,若干の考察を行なつてみたい。
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